「オレは外国に行くんだ」

「オレは外国に行くんだ」

ジャングルジムの上でコウくんはそう言った。僕はコウくんを3段下から見上げていた。

「旅行に行くの? いいなあ」
「違うよ。大人になったら、日本じゃなくて外国で暮らすんだ。世界から見たら日本なんて本当に小さいんだぜ。一生閉じこもったままなんて嫌だからな」
「日本はそんなに小さいの? でも、僕のおばあちゃん家が北海道にあるんだけどさ、そこだって飛行機に乗って、そこからさらに電車に乗ってくから、すごい遠いんだよ。だから、日本って大きいと思うな」
「世界は、その何百倍も大きいんだよ」
「何百倍?!」
「もっとかもしれない」
「もっと!?」

ゴーという音が聞こえてきたので、僕らはふいと首をあげた。飛行機がゆっくり、空を横切っていた。

「あれはどこに行くのかな?」
「アメリカか、あるいはもっと遠くかも」

外国がどんなところかわからないけれど、僕も大人になったら、飛行機に乗って外国に行こうと思った。

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