「喜びたまえ。常人でしかない君の世界をこのオレが変えてあげよう」

「喜びたまえ。常人でしかない君の世界をこのオレが変えてあげよう」

そう言って東堂くんは、僕の額をトンと押した。強い力ではなかったけど、ビリリと電流が走ったかのような衝撃があって、僕は思わずしゃがみこんでしまった。
僕は立ち上がれずに、額を抑えたまましゃがみこんでいた。

「な、なにしたの?」
「ふん。君にもわかりやすく言うと、ツボを押したのさ。指先にちょいと力を込めてね」


力を込めた? そっと触れたくらいだったじゃないか。何を言っているのか全然わからない。

僕は抗議しようと顔を上げて、固まってしまった。

「どうだい? 新しい世界は」

藤堂くんは、満足そうな顔で僕を見下ろしながら言ったが、僕は答えることができなかった。
今見えている世界に、圧倒されてしまっていたから。

今まで僕が見ていた世界は、平坦だった。でも今は、色彩も輪郭もはっきりして強調されている。
その中でも東堂くんはより一層はっきり見えた。東堂くんの周辺が、ぼんやりとゆらゆらしてしまうくらいに。

「おめでとう。君はオーラを感じる力が常人の1.5倍になった」
「オーラ?」
「ちなみにオレは、オーラを感じる力が常人の5倍ある」

ふふんと得意げに胸を張る東堂くんに、訳わかんないよと返そうと思ったけど、ぐらりと目眩がして僕の意識はそこで途切れてしまった。
多分、突然の情報量に脳が耐えきれなかったのだろう。

この日から文字通り、僕の世界は一変したのだった。

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