リサはただ黙って私にしがみついていた。
僕はリサが落ちないように注意しながら抱きかかえ、歩いていた。
高い体温が、僕の胸を温める。
「さっきは大声出したから、びっくりしたよね。ごめんね」
できるだけ優しく話しかけたつもりだったが、リサは堪えきれなくなったのか、ぐずぐずと泣き始めてしまった。
「でもね、車道に飛び出そうとしてたから、僕もびっくりしちゃったんだ。本当に危ないことだから、これからはしないようにね」
リサは鼻声でごめんなさい、と言った後、大声で泣き出した。
聞き分けの良い子だが、まだほんの4つだ。
(僕はきちんと、この子を守れるだろうか)
友人の忘れ形見は僕の首に縋りつき、ずっしりとした重さと、子ども特有の暖かな体温を、僕に必死に伝えていた。