敵からの電撃攻撃に、私はかろうじて防衛魔法を展開していた。

敵からの電撃攻撃に、私はかろうじて防衛魔法を展開していた。
しかし力の差がありすぎる。身体中バラバラになりそうな痛みで気を失いそうになる。
負けてたまるか、と自分を奮い立たせ、咆哮する。


ふいに背中から支えられる感触と、叫び声が聞こえた。
振り向くと、由依が私の腰にしがみついていた。

「何してる! 離れろ!」

信じられない。一般人の彼女がきたところで何も状況は変わらない。まったく理解ができない。
攻撃の真っ只中に自ら突っ込んできただけの愚かな行為だ。

「離れない……」

細い声で由依は言った。
訓練を積んでいない彼女がこの痛みに耐えられるはずはないのに。

攻撃が強まったのを感じ、私は顔を正面に戻し魔法に集中する。が、背中の感触は消えず、由依を意識せざるを得ない。

「もう絶対……一人にさせない!」
彼女が叫んだ。

瞬間、私の頭に静寂が訪れる。
足に力が戻る。
自分の心が、折れかけていたことに気付かされた。

私はまた咆哮した。由依の声がそれに重なる。
電撃を押し返す手応えを、少しだけ感じた。

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