「ルィ、ちょっと休憩しようよ」

「ルィ、ちょっと休憩しようよ」

サンタナは近くの木に寄りかかりながら、自分の前方を飛んでいる、小さな妖精に提案した。

「さっきも休憩したばかりじゃないですか」

キラキラと光を輝かせながら、ルィはサンタナの前まで飛んできて、顔を覗き込んだ。
ルィの全長は、サンタナの顔ほどしかない。

「休んだら全快するわけじゃあないのよ。疲労はどうしたって蓄積していく」

そう言いながらサンタナは背負っていた荷物を下ろし、木の根本に腰掛けた。
サワサワと葉の擦れる音が聞こえる。

「まだ元気そうに見えますけど」
「ルィ、休憩の極意を教えてあげよう」
「極意?」
「疲れ切る前に休め、だ」

サンタナは水筒から水を飲み、ふうと息を吐く。

ルィはサンタナの頭の上に腰掛けた。羽のように軽いので、サンタナは文句も言わないでそのままにしていた。

「……あ、水の流れる音が聞こえる」
「向こうに、川があるのかもしれませんね」
「休憩が終わったら、行ってみよう。そろそろ水を確保しておかなくちゃ」
「人間って大変ですね」
「慣れればそうでもないさ」

ちゅんちゅん、と鳥の鳴く声が聞こえる。
二人はしばらく、森の音に耳を澄ませて時を過ごした。

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