その子は、頭の先から爪の先にいたるまで飾り付けることに熱心だった。

その子は、頭の先から爪の先にいたるまで飾り付けることに熱心だった。他人はそんなところまで見ないよ、というところまでも、彼女は徹底していた。

あまりにも熱心すぎる彼女を心配する気持ちから、一度彼女に言ったことがある。「どうしてそんなに美に意識を使うの」と。
彼女は少し考えてから言った。

「なんでって聞かれると困るわね。好きだから、としか言えないかも」
「髪のハネひとつにもすごい気を使っているじゃない。正直他人は、そんなとこまで気にしていないと思う」
「他人に綺麗と思われたいからやってるわけじゃないわよ」
「そうなの? ファッションの原動力って綺麗に思われたいとかモテたいとかじゃないの?」
「オシャレは自己満足上等、よ」

そう言って彼女は笑った。
彼女がどうして魅力的なのか、その顔を見て理由がようやく分かった。

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